白川又川谷

(記・白子 八千代

H7年5月3〜5日(天 候 くもり → 雨 → 晴)

(CL) 山田  (SL) 有北  伊藤
  多部  白子  白子    計6名
 
(文中の○囲み数字は遡行図用。遡行図は本のコピー使用のためここには不掲載)

 1日目 (5/3)
6:15 起床
8:15 車かりる
10:00 2人もどる
11:10 ◯P出発
11:35 フジノトコ
12:45 ・中ノ又出合
15:20 ・火吹谷出合
16:00 ・?
17:30 テント泊

 2日目 (5/4)
4:45 起床
6:30 出発
7:50 水晶谷出合
8:00 ・
9:15 ・おわり
10:20 ・口剣谷出合
11:30 2条15滝
12:00 ・昼食
12:15 
13:10 ・
14:10 テント泊

 3日目 (5/5)
5:00 起床
7:00 出発
8:00 2俣
11:10 ヤセ尾根
12:20 稜線
12:45
13:30 コル
14:00 鳴尾尾根
16:30 迷う
17:00
17:30 中ノ又沢
18:00 中ノ又白川又出合
19:10 林道終点
19:35 ◯P着

アプローチ:国道169号から白川又林道へ入り林道2又を右下へ行くと30分程で駐車場。

費用:食糧費+お礼約8,000円 (3,000円+酒代+ガソリン代)+車代+タイヤ代=36,000 円  一人6,000円

 5/2夜出発。 目的地のすぐ手前でなんと2回もパンクする。 翌朝、 通りがかった山仕事の人達の車をかりて、 山田さんと有北さんがタイヤを買いに行ってくれた。 ようやく駐車場を出発できたのは、 11:10。 初日の溯行可能時間は約半分になってしまった。

 沢は連休前半まで降り続いていた雨のため、 水量が多く、 流れも速い。 ジャンボな伊藤さんに先に渡ってもらい、 ザイルをフィックスしてもらって残りのメンバーが渡る、 ということが10回はあったと思う。 身長の低い者にとってはハードだった。 雨の方は時折パラつく程度だったが、 胸まで水につかることも多かったので、 ほぼ全身濡れて寒かった。

 17:30 ・を過ぎたあたりでテント場を見つけ、 2張り張った。 予定の水晶谷との出合まで行けなかった。

 焚き火を囲んで、 伊藤さんが用意して多部コック長が揚げてくれる冷凍食品とタラの芽の天ぷらを食べた。 おいしかった。 あとで天ぷらに使った油をたき火にかけたら火柱があがった。

 5/3
 くもり。 今回は偶然に岩登りの好きなメンバーが揃ったので、 滝はほとんど直登した。 谷は明るくて、 白い石が多く、 雨のあとにもかかわらず水は澄んでいて、 あのよくすべる茶色の苔もほとんどなく、 快適だった。
 
 ただ、 いざ高巻きするとなると、 多くの浮石と、 つかむと手の中でボロボロ崩れるほど脆い岩質、 間隔のあいた木々等に、 緊張を強いられた。 特に・滝手前のルンゼ (多部さんリード) と最後のルンゼ (伊藤さんリード) は絶悪だった。

 それでも、 いったん高度をかせいでしまうと、 新緑のブナ林に出会い、 このままブナ林の中をどんどん登っていきたい気持ちにかられたが……いやいや我らは沢ヤ、 いざ懸垂! 

 この日は少し早かったかもしれないが、 2時過ぎにテントを張った。 河原はもうずいぶん狭くなってきていて、 その場所より上でテント場が見つかる保障がなかったから。 みんなが2時間以上もかかって焚き火をつくってくれたとたんに雨が降ってきた……。

 雨は一晩中降っていたようだが、 翌日の起床時間までにはやんでくれて助かった。 なにしろ、 近くに雪渓が残っているほどの寒さだったのだ。 (4℃)

 5/4 
 ・20の大滝は声が聞こえないから全員が登るのに1時間以上かかった (リードは白子)。

 そして、 チョックストーン手前の雪渓まできたところで、 尾根に出るため左側のルンゼに入る。 ここは、 どこかの会の溯行記録には、 「投げ縄で脱出した」 とあった所だが、 どこにどう投げ縄するのかわからず、 またいろいろ試してみる時間も無かったため、 あきらめて素直にルンゼを登る。 でもやってみたかったなあ、 投げ縄脱出……。

 この雪渓から、 山を仰ぎみると樹氷 (霧氷?) まで見えた。 半身濡れたまま雪渓の上で待っているのは辛かったが、 上では伊藤さんと山田さんが命がけ (決してオーバーではない) のルート工作をしてくれているのでじっと我慢の子。 ようやくルンゼを越えてヤセ尾根を登ると、 次はトウヒの原生林のヤブこぎ。 このころから晴れてきて、 展望は最高となる。

 残雪の稜線に出てから、 ミーティングの結果、 鳴尾尾根を下りることになった。 草原のように広い尾根はやがてたくさんのつぼみをつけたシャクナゲの木でいっぱいになり、 それからヤブに変化していった。 そのヤブを下りている間に少し迷ったが、 無事中ノ又沢を見つけて懸垂下降し、 沢下り。

 中ノ又沢と白川又谷との出合にある滝の上部から、 南の尾根を山田さんのあとをわけもわからず (私だけ) ついてヤブこぎしたら、 どんぴしゃ林道終点に出た。 ビールで乾杯。

 この日は12時間半も行動したので、 さすがに帰りの車ではみんな静かだった。 私も久しぶりに車酔いしてしまった。

 今回は 「たまにはのんびりした合宿をする」 計画だったので、 豊富な食糧に加えて、 釣り道具や山菜の本まで持って行っていたのに、 実際はコースタイム通りにさえいけなかった。 負け惜しみかもしれないが、 とにかく水量の多さは尋常ではなかったし、 滝はできるだけ直登したし (ただしこの谷の場合は高巻きしたらもっと時間がかかっていたかもしれないが)、 水温が低いのでゴルジュを泳いで突破する気にもなれなかった。 第一、 しょっぱなから2回もパンクするという大不運!

 まる3日冷やし続けた体は温泉に入ってもいつもみたいにポカポカしてこなかった。 なにより、 全員の傷だらけの手とひび割れた唇が健闘を物語っていたと思う。 自画自賛かな?