大台・シオカラ谷

(記・白子 八千代

H8. 10. 20 (霧のち快晴)

CL 脇本  SL 白子
  井本  大畑  大畑  渡瀬  白子

19日  
21:45 和歌山発

20日  
1:15 大台駐車場着
7:40 大台駐車場発
8:20 滝見道入り口発見
9:10 赤テープ発見・休憩
9:50 2つめの赤テープ発見
10:30 ・の手前・大休止
11:50 6滝上部大休止
12:15 ・東の滝手前
13:10 ・高巻き終了
13:50 昼休憩
14:40 昼休憩終
15:00 ヒバリ谷元木谷出合
15:35 遊歩道
16:00 大台駐車場着 上北山村の温泉へ

 いきなり道に迷ってしまった。 沢に下りる前に……。 「廃道危険立入り禁止」 という立て札を確認して滝見道へ入ったのだが、 すぐにひどい藪になり赤テープも見つけにくく3時間近く迷った。 みんなは熊笹や木の根や湿った土と闘いながら頭の中では装備の確認や時間の計算をしていたそうだ。

 しかし、 10時30分に予定していた・西ノ滝前より上部の・千石前に下りたので、 最終的には明るい時間に帰ることができた。

 沢で私たちを待っていたのは大岩の群れ。 パワーのあるものはパワーで、 バランスのいいものはバランスで、 どちらもないものはごまかしと運で、 思い思いに岩を乗り越え乗り越え、 1時間ちょっと登ったところでバッシャーン! 調子にのって6滝の乾いた側壁を登っていた私が釜に落ちたのだ。 ごまかしが効かなかったわけだが、 4〜5m滑り台を滑るように岩を滑って何もない水中に落ちて無傷だったから運の方は少しあったらしいが……ハックション! 肩までびしょぬれ。 やんちゃもそこそこにしないと体に悪い。

 大岩の群れの最後には・25の迫力ある東ノ滝がそびえ立っていた。 「登るほどの滝でもない」 と負け惜しみを言いながら向かって左側を大高巻きした。 危ない高巻きだった。

 その急斜面を登り終わると突然、 明るい世界に出た。 朝は冷たい霧の中の出発だったけど、 いつの間にか晴れていたらしい。 空は雲ひとつない秋晴れで、 周辺の山々は紅葉に染まっているが、 谷中にはもう葉っぱが落ちてしまった木もたくさんあって常に木枯らしのように冷たい風が吹き渡っていた。

 ラーメンなどでいったんは暖まった体がまた冷めてみんなが震えはじめても、 脇本さんだけは 「寒いかあ?」 といつもの調子で熱燗を飲み続けている。 寒いよ……特に私は。 もう脇やんなんかお酒の中へ溶けてしまえばいいと思った。

 いやいやをする脇本さんを無理やり立たせて、 歩き始めると間もなくヒバリ谷と元木谷の出合へ出た。 広々として明るい。 美しいヒバリ谷の方を選んで、 苔と原生林の中を流れている川を歩くと堰提にぶつかった。 その隣にある小屋の前から巻いて川筋にもどり、 しばらく歩くと遊歩道の橋の下に出た。

 大勢のハイカーが通る道の脇で脇本さんを待ったが、 遅すぎるので、 小屋の裏の近道から先に遊歩道へ出たのかもしれないと思い、 駐車場へ行ってみることにした。 「先に着いていて、 もしまたお酒飲んでたら……?」 「もうほって帰ろ。」 口々に言いながら歩いていると、 迎えにきた脇本さんとバッタリ。 「皆も近道したらよかったのに。」 「脇やんが道に出るまで谷をつめるて言うたんやんか!」 と怒ってもへらへら笑っている。のれんに腕押し。 日当たりのいい売店のベランダで飲まずにみんなを待っていたんだとか……先に着いていることがわかるように車のボンネットにわらじをのせておいてから……酔っぱらっているくせに抜け目がない。 それにしても、 私達は長い間、 寒い所で心配しながら待っていたのに、 当の本人は日向ぼっこしていたなんて! 遠くまで捜しにいったりした井本さんは、 脇本さんの大事なオールドカメラをそっと隠した。

 青空と紅葉がとてもきれいな一日だった。