西穂高岳

(北アルプス)

(記 ツヨシ)

平成19年

1/16
22:00 和歌山

1/17
3:00 飛騨清見
4:30 平湯バスターミナルで車中泊 コンビニのおにぎりで朝食。
8:45 発松本行 パッキングが間に合わずバスに待ってもらい 
8:46 飛び乗る
8:55 中の湯下車540円


荷物を詰め直して9:20スタート。
登山届けを提出する。
釜トンネル内に雪は無く凍結もしていない。歩きやすい。
服装は薄い化繊の肌着2枚重ねにゴアのカッパ。
下も同じ肌着にドロワットパンツ。サングラス、目出帽にストックを持つ。
(赤/黒のゴツダウンは車に置いてきた。marmotのダウンで戦えるか試してみる)

天気は曇りで雪は降っていない。
一般車は通行止だが工事関係の車が数台追い抜いて行く。ヒッチしてみるが捕まらず、目も合わせてくれない。やはり今までの経験上暖かい地域の方が成功率は高いようだ。

大正池手前の唐松橋でスノーシューを履いたハイカーが10人程休憩している。西穂に登ると言うと「あの急登を行くんですか!!」…はい。そんなこと言われても行ったことがないのに分からない。「体力を温存したいならこっちを行った方がいいですよ」と橋を渡る道を勧めてくれた。確かに帝国ホテルへの道は踏み跡が無く歩きにくそうだ。
橋を渡り工事用道路を行く。トラックでガチガチに固められ、これはこれで歩きにくい。アイゼンを履こうか迷うが、もうすぐでワカンに履き替えだし我慢して道の端を歩く。

10:20登山口着
トレースは無く、いきなり膝までハマる。初ワカンに初ラッセルだ。新穂のロープウェーが頭に浮かぶ。
赤テープをたどって行くが何かおかしい。コンパスをチェックして間違ってると判断し、引き返す。何かの境界線を示す赤テープがあって紛らわしい。薄いオレンジもある。かなりギザギザと無駄な動きを繰り返しながら登る。

11:30 10mは登ったかな?時間が過ぎ体力が減っていく。ルートが違うと自分でわかってることだけが救い。「もうあかん、引き返そうか?」
「ラッセルが怖くて雪山が登れるか!お前がパイオニアだ!」
「ロープウェーでいいじゃん。」
「なんなら上高地散策でも」
…妥協しだすとキリがない。弱い人間だなと思う。
結論―「今日小屋まで行けなくても明日中に着けば3日目にアタックして降りれるだろう。」とりあえず小屋までは行かないと。
やるだけやってみる。

西の沢に出てそこから北にルートをとる。これで登山道に出るはず。
しばらくすると動物の足跡のような小さな消えかけのトレースを発見!道も登山道っぽくなってきた!

しかしラッセルがきつい。2歩進んでは立ち止まる。1時間に50mしか登れていない。
やがてトレースは消えた。こまめにコンパスと地図でルートをチェックする。テープはないが電線のようなものがあり、それを半分当てにして辿る。この上にある施設は西穂山荘ぐらいだろう。

ラッセルは足の付け根までくるようになった。両手両足をフルに使い、木を掴み、ストックを深く刺してから足を出す。
膝蹴りをかまし、できた段差を踏み固める。
ガニ股で歩いてみる。色々やってみる。
なんでこんなしんどいことをしているんだろう?
「まっさらな新雪に自分だけの足跡が残り、立ち止まると周りに生き物の気配は無く自分の呼吸の音だけが聞こえる。それが雪山。それが冒険ってもんでしょ」
「人の足跡に自分の足を合わせる。そんな型にハマった人生なんてつまらない」
「これは山登りが目的なんだから人生は関係ないでしょ」
「登頂だけが目的なら文明の利器をつかえばいいんだよ」
「しかし途中の苦労があってこそ登頂したときの喜びや達成感も大きくなるし」
「結局トレースはいるのかいらないのか?」
「う〜ん。無い方が面白い。でも、今は欲しい」「要は体力が無いということだ。環境に左右されない体力があればいいんだ」
「でも体力をつけてさらに厳しいところに行くとまたしんどい思いをしてキリがないんじゃ?」
「それが成長ってことか?」
「やっぱり山登りと人生は関係がある」
自問自答を繰り返しながら喘ぐ

14:30 かなり消耗しているようでザックに座ると一瞬で夢を見る。
15:30 深みにハマった足を抜く時に足がつりだす。あと一時間で行動を止めよう。
16:30 傾斜が緩くなり、ルートがかなり細くなる。もうすぐか!? こんなところでテントは張れないぞ。気はあせるが慎重に進む。


「小屋まであと1時間半」の看板を発見。ダメだ…今日はたどり着けないな。
再び急登になり、登山道の脇にテント一張分のスペースを発見。
テントを張ろうとするが、「明日はここから空荷でアタックしようか」と考えていると手が止まる。
頭にエネルギーが無いらしく2つのことが同時に出来ない。まるでヒマラヤのすごい高所にいるようだ。そう思うと楽しい。

17:30 設置完了。ちょうど日が暮れた。
標高は1950m。7時間で500mほど登ったようだ。
晩飯はカップシチューとご飯。ご飯がうまく温まらずラーメンを作ってそこに餅と一緒に入れる。チーズも食べた。
すごい食い合わせ…。

21:00 寝る
上は肌着を替えてフリースとダウン、下は肌着そのままでフリースのズボンを着用。寒気は全く感じなかった。


1/18  曇り時々雪→吹雪
6:00発 テントはそのままでザックにピッケル、アイゼン、ダウン、マスク、カメラ、携帯、ティッシュ、コンパス、地図、タオル、お金1万1千円を持ち出発。ヘッドランプを頼りに電線を辿るがすぐに「宝水」の看板を発見! げげ〜っ! まだこんなとこだったとは!! まぁ空荷だし2時間ぐらいで着くだろう。
体は軽く順調に進むが、すぐに昨日の疲れが出始める。荷物置いてきて良かった〜。

7:00 2200m付近。時々木に止められた矢印の標識を見つけるが、向きが変わってるかもしれないのであまり信用したくはない。標識の存在自体が道標だ。赤テープは無いに等しい。このルートではやはり電線を辿るのが一番だと思う。

8:00 小屋が見えて喜ぶ。ぴったり予想通り。我ながらいい勘してる。しかし目の前の丸山にトレースは無い。ツルツルのきれいな斜面だ。。。
と、そこに小屋から今まさに出発する人の姿が!!しかも5人も!!(ラッキー♪)これは時間差アタックやな。
200円の休憩料を払って休ませてもらう。小屋では笑顔のお兄さんが迎えてくれた。アゴ髭が山男っぽさを醸し出しているが無粋な感じはしない。この笑顔が訪れる登山客の疲れを癒しているんだろうな。そんな素敵な笑顔だった。

小屋の朝食の時間は7:00になっている。絶妙のタイミングで到着したようだ。ストーブで温まり、500円のホットカルピスを注文した。これがメッチャおいしくて、もう1杯飲もうか真剣に悩んだ。下山の時も休憩したいから200円いるし〜。。飲み物も。。(根が貧乏旅行者なのでこの辺はシビアです)

8:30 カルピスは我慢して出発。丸山への道は雪深く、トレースはかなり深くなっている。これは初めの人しんどいだろうなぁ。登っているのではなく、登らせてもらっている。そんな気さえしてくる。感謝感謝。











稜線に出るとアイゼンが雪面をきしませる。きたっ!!この感じ!!地面があるっていいなぁ〜
天気は良くも悪くもないという感じで曇り空から時々雪が降って来る。風はあるが稜線だからこんなもんだろう。
たまにガスが晴れて独標のピークが顔を出す。そのチャンスを狙って写真を撮るがここでデジカメを落としたら助からないと思いシュリングで確保する。これでよし。
東側から太陽が登り、飛騨側に自分の大きな影ができている。そしてその周りを囲むようにドーナツ状の虹がでている。不思議な光景。
稜線は広いがルートを外れると足をとられて歩きづらい。
広い稜線…この時はそれほど意識していなかった。
ルートの右手1.5mぐらいのところには小さな雪庇が出ている。雪庇を踏み抜くってどんな感じだろう?確保されて落ちてみたい気もする。ビレイヤーも危ないか。
おっと、amanaさんに怒られるからもう少し離れよう。
意識して指先を動かしているが強い風で手袋の先が凍っている。予備の手袋を出してインナーに使用する。多少指は動かしにくいがなんとかいける。
ストックを収納していよいよ独標への岩綾帯へ挑む。見上げるとなかなか迫力がある。こうでなくちゃ。写真を撮って登り始める。
絶対に落ちれない、程良い緊張感。でも楽しさの方が勝っている。
体の動きはスムーズだ。雪を払い、慎重にホールドをさぐり、浮き石でないかチェックする。岩を抱いて死ぬのはごめんだ。

10:00 独標に到着すると先発の5人が休憩していた。ガイドさん風の男性とおばさん4人組だ。彼らはここで引き返すらしい。当然西穂の山頂まで行くものだと思っていたが、独標で引き返す人は意外に多いみたいだ。
行く先にかっこいいピークが見えたがすぐにガスで巻かれてしまった。あれが西穂の山頂かと思って尋ねてみるとピラミッドピークというやつらしい。
「この視界だとピラミッドピークまででも1時間半はかかるし西穂山頂までは間に合わないと思いますよ」とアドバイスを受けた。

まぁとりあえずピラミッドピークを目標にしてやってみるか。あそこに立てたらきっと満足するだろう。
ピッケルを出し、ザックは独標にデポしていくことにした。

ここからは本当に一人だ。冬の西穂を一人貸し切り。夏だとこうはいかないだろう。人の少なさも雪山の魅力の一つだと思う。
出だしの下りに少しビビるが、降り始めるとなんてことはない。やっぱり岩はいいもんだ。

10:30 ピラミッドピーク着。意外にあっさりだったのでそのまま西穂に向かう。それほど難しいところはなく岩っぽい感じで楽しい。これが山頂か?と思ってもなかなかたどり着けない。登っては降りての繰り返し。独標―西穂間には12のピークがあるらしい。


11:20 山頂に着いた時は「やっとか。」という感じだった。当たり前だがそこには山頂を示す木が立っているだけで展望も何もなく、満足感もなかった。なぜだろう?独立峰でないからだろうか。
ここから先は超一級品だと言われていたがまさにその通りで、「登攀意欲がそそられる」という程度の代物ではない。こんなとこ行く人がいるんだろうか?いるんだろうな〜 すごいなぁ。槍ヶ岳まで続くこの道をいつか制覇してみたいもんだ。
写真を撮って早々に引き返す。

13:00 独標。登りで緊張したこの道も、岩に慣れたのか雪が付いてマヒしているだけなのか、恐怖心は全くない。
ここまでは順調だった。が、知らず知らず吹雪が強くなり嫌な感じになってきた。雪質が見極めにくいのでサングラスを外した目の調子が悪い。まばたきをすると岩や雪の輪郭が緑色に見えるようになる。

ルートも分かりにくくなってきた。登る時、時々振り返り、下りの景色を確認していて一ヵ所だけ間違いそうなポイントがあった。そこは過ぎたのにどうも違和感を感じる。登りの感じを思い出すため30分程トラバースしながら登り下りを繰り返す。やっぱり何か違う。
道はそれっぽいがこんなブッシュはなかったはずだ。コンパスは真西を指している。西へ寄り過ぎたか!?行くべき南西の方角は谷になっている。しかしその先がよく見えず、もしかしたらまた登りになっているのかもしれない。あっちが正解か?うーん。。いや、あの下りは急過ぎるやろ。こっちの道か?でもこんなブッシュは…
自分の勘を信じるしかない。どっちも違う!こんな時は下ってはいけないと、どっかの本で見た気もするし。登ろう!!体は重いが登るしかない。

2つ目のピークを超えた時、南西に伸びる稜線を発見!! これだ!! 確信をもって進む。登る時は東側の雪庇のすぐ横を歩いていたから東側に寄らないと… そう思いながら歩くこと数分・・・またまた違和感を感じる。こんなに急なはずはない。
立ち止まってコンパスで確認、っとその時!!  強風で吹き飛ばされてしまった!! ジップロックに入れたコンパスと地図がすごい速さで斜面を滑っていく。とっさにダッシュで追いかける!!  下にブッシュ帯が見える。あそこで止まっていてくれ!!
だめだ。。ない。
これ以上は体力の無駄だと判断してあきらめる。白子さんに借りたコンパスが… しかもあの中にはいざという時に西穂山荘に泊ろうと思って入れておいた一万円も…。こんなことならホットカルピスもっと飲めば良かった。。。
かなりヤバいな、こんな吹雪でコンパスをなくすなんて。。
でもこの風、たしか西から吹いていたはず。
そう信じ、風上へ向かって斜面を登り始める。視界は最悪で、目の前が空間なのか雪壁なのか分かり辛い。這うようにして進む。しかも膝上までのラッセルで足をとられ、体力が奪われる。
合っているのか分からない、どこまで続くのか分からない道を行くのは精神的にもかなり辛い。
果てしなく長く感じられたが20分ぐらいだったのだろうか? 再び稜線に出ることができた。
雷鳥がトコトコと歩きながら逃げていく。生命の存在がうれしい。

ここで風下に向かって座り、カロリーメイトを口にする。頭を整理しなくては。
怪我は?―なし。体力は?―まだいける。目は?―良く見える。寒気は?―なし。指先も大丈夫。食料は?―菓子パンが2個と水が200ml程。装備は?―ヘッドライト。ザックにダウンジャケットがある。最悪の時はザックを頭からかぶって凌ごうか? いや、そんな事態は絶対に避けたい。
独標でのガイドさん(?)の言葉を思いだす。。
「間に合わない」
あの時はロープウェーの最終便のことだと思っていたが、天候のことだったのかもしれない。ベテランの言うことは聞くもんだ。
よし。じっとしていても時間が過ぎるだけだ。行動しよう。

下り始めると足元に「松本営林所」という看板を発見。端が岩で押さえられていて人為的にそこに置かれているという感じがする。こんな看板登る時あったかな?稜線にいるのは間違いないのに。行き過ぎ?そんなことがあるのか?またまた自信が無くなる。
標高は2450m。山荘は2385mだから誤差があるとしてもまだ上にいるのは確かだと思う。
さらに下ると今度は腰までの雪にはまる。いくらこの雪とはいえ、ここまで積もるわけはない。
だめだ…。 お手上げだ。もう自分の力ではどうすることもできない。

15:18 完全に遭難した。白子さんに電話して山荘に連絡を取ってもらおう。幸いにも電波はギリギリ届いている。一回目、出ない。この時間は仕事かなぁ?二回目、留守電にメッセージを残して更に下る。
間違っていると判断したらさっきの看板まで戻ろう。捜索の時の目印になるだろう。
ところが、腰までの雪はほんの2〜3mの間だけで終わり、20m程いくと眼下に西穂山荘が見えた!!助かった〜。白子さんから電話があり、助かったことを告げる。

丸山にはすごい量の雪が積もっていて、そこを下る、というか落ちるようにして山荘に向かう。

山荘の前ではスタッフの人が除雪作業をしていたが、こっちのただごとでない雰囲気に気付き凝視している。
事情を説明すると驚いた表情をしていたがすぐにあの笑顔になり「とりあえず中に入って下さい」と安心させてくれる。
中に入ってストーブに当たらせてもらう。



現在15:30。暖かい。
危険な山の世界から安全な日常の世界へ。こっち側へ帰って来た。
たった2時間だったけど「まさか」の事態は起こり得るということがよくわかった。
振り返ってみると「ヤバい!」とは思ったけど、「死ぬかもしれない」とは感じなかった。
死んでたまるか!! まだあの子の手も握ってないのに!!
とにかく、絶対生きて帰る。そんな気持ちだった。

お金は後日送金ということで泊らせてもらうことができた。18:00の夕飯まで休ませてもらう。初の山小屋泊りがこんな形になろうとは。
部屋は2階の上高地3号室。山小屋はすごい混雑でギュウギュウで寝るイメージがあったけど一人で寝れるみたいだ。
窓には防寒対策でプチプチが張ってあり、残念ながら景色は楽しめない。
布団に入るとすぐに意識が無くなり熟睡した。
スタッフの人に起こされて下りて行くと一人分の食事しかない。今晩泊るのは僕だけのようだ。
ご飯もおかずもいっぱいあるので、好きなだけどうぞと言われる。
大きなプレートにメインの豚の生姜焼き、コブ巻き、山菜が数種類、酢の物。どれも手が込んでいてとてもおいしかった。ご飯と味噌汁をおかわりして満腹。大満足。
いや〜 山小屋って本当にいいもんですね。クセになりそう。

食後はお茶を飲みながら感想ノートに書き込み。21:00の消灯までマンガを読んでくつろいだ。
熱いお茶がおいしくてかなり飲んでしまった。ポットの半分ぐらいはいったと思う。「冬期は宿泊者への水のサービスは行っておりません。500ml300円となります。」の看板を見て飲み過ぎたことを反省する。
寝る時に心配事が一つ。コンタクトをつけたままで寝ないといけないことだ。今日は一日使い捨てを使用している。二日使ってもどうってことはないが乾いて外れてしまわないかが心配だ。


1/19
6:30 家よりもぐっすり眠り、自分がどこにいるのか一瞬わからなくなる。まばたきをしてコンタクトをなじませる。目の調子は良さそうだ。
朝日を撮りに外へ出る。30cm程積雪しているが天気も良さそうだ。

7:00 朝ご飯もボリューム満点でとてもおいしかった。食べ過ぎで動けず、部屋に帰って布団に潜り込む。

8:30 山荘の番号が書いた名刺をもらって出発。「また遭難したら電話します」と言うと、「上高地へは下りたことがないのでダメです」と笑っている。
天気は快晴で時間にも余裕があるがコンパスがないので絶対に電線を見失ってはいけない。昨日の自分のトレースは完全に消えている。帰りの運転もあるし、足をひねらないように慎重に下る。

9:10 テント場着。テントが無事でホッとする。中の装備も濡れていない。何もかもそのままだ。
9:50 日焼け止めを塗って出発。
電線を忠実に辿る。
あまり木に近付き過ぎると深みにハマるようだ。登る時は頼ってた木を避けていく。
尻セードをすると良く滑りそうだが山に失礼な気がしてやめておいた。(本当は背中に雪が入るから)
時々、木々の間から見える山並みがきれい。今日は本当にいい天気だ。山頂からはすごい展望が広がっているんだろうなぁ。予定が一日ずれていたら…と思うが、昨日の雪でさらに積もったこの道を、小屋までたどり着けたかどうかは分からない。そんなもんだろう。
下りてくるとチラホラ自分のトレースが現れ始めるが迷いまくった跡なので無視。他にも小さなトレースがある。動物のような、人の足跡が消えかけたような変な感じだ。

11:00 登山口着。15:05のバスまでまだ時間があるので河童橋まで上高地を散策することにした。スノーシューを履いたハイカーが結構いて、梓川のほとりでキャンプしている人もいる。
11:30 河童橋。春に登った奥穂の南稜を眺める。といっても南稜がどれなのかいまひとつ自信が無い。ジャンダルムは分かるけど、どれが西穂なのか分からない。山のことなんも知らんなぁ〜と、あらためて思う。名前は分からないけど、でも、きれいだ。雪化粧と言うけど雪の付いた冬の山は本当にきれい。
1時間程ぼーっとして過ごし、コンパスが流れて来るのを待つがそんな奇跡は起こらなかった。

看板で山の名前を調べながら引き返す。焼岳がなかなかかっこいいなぁ。霞沢岳も岩っぽくていい感じだ。
キーキーと鳴き声が聞こえるのでどんな鳥かと見てみると猿が笹の葉(?)を食べている。あのトレースは猿だったのか。
何度も振り返り、山々との別れを惜しみながらバス停へ向かう。
途中2人組のアイスクライマーに追い抜かれた。ザックに付けたヘルメットとバイルがかっこよくて思わず写真を撮ったが、一人が道端で立ちションを始めた。おいおい!抜く前にやってくれよ。写真は消去やな。

14:40 中の湯着。秘湯ト伝の湯に入ってみたいが中途半端な時間だ。
下山の記念に自分の写真を撮るがしばらく笑ってなかったせいか、ぎこちない顔になってしまった。
バスターミナルに戻り、その足で平湯大滝に向かう。一度春に訪れたことがあったが凍り付いた滝も見たかった。
1km程歩いて到着。滝は完全には凍り付いておらず生きていた。写真を撮るだけでも寒いのにアイスクライミングってそうとう寒そうだ。
帰り際またNHKの車と擦れ違ったけど今回はインタビューされなかった。無料の足湯に浸かりながら山行記録を書き、その後温泉「平湯の森」で3時間くつろぎファミレスで晩ご飯。そういえば山荘で朝ご飯食べたっきりだった。

22:00 飛騨清見
4:00 和歌山

高速代1万1千円。ガソリン1万円。食費3500円。走行850km。

西穂山荘(直通)0263-95-2506
濃飛バス057-82-1111

今回の山行を振り返ってみると、山とは登るものではなく登らせてもらうものだということ。
山に向かう体力を作ってくれる家族、的確なアドバイスで万全の体制で送り出してくれるKRCの皆さん、前を行きトレースをつけてくれる登山者、冬でも営業している山荘の存在があって成り立つということを感じました。
そして、まさかの事態は起こり得るということ。KRCの皆さん、こんな未熟な僕をこれからも御指導よろしくお願いします。

 

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