ブッシュマン
(大台ヶ原‐蒸籠グラ)

(記・ツヨシ)

H19.11.7〜8

大台ヶ原‐蒸籠グラ‐ブッシュマンwith夕陽の衛兵さん

天候:晴れ

11/7
23:00 自宅発

11/8
1:30 大台ヶ原P
06:30 起床
08:00過ぎ P発
09:00過ぎ 大蛇グラ
10:00 登攀開始
11:45 終了点
13:00 P着解散
14:00 P発ハイキング
15:00 大蛇グラ
16:00 P着解散


時はさかのぼって11/1、以前から気になっていた大台ヶ原の岩場についての情報を得るため、師匠から聞き出した衛兵さんの携帯に電話を掛けてみた。

衛兵さんとは以前紀三井寺で一言二言会話を交しただけだったのに、西穂のT君やろ?と覚えていてくれて、新しいこのルートを提案してくれただけでなく、同行していただけることになり今回の登攀が実現した。感動です。
自分の為に書いた日記感覚の記録がこんなところで役に立つとは。人はつながっているもんだなぁ。

開拓者本人と。そして、ついに実現した大台ヶ原でのクライミングにワク×2して1週間眠れない日々を過ごし、鹿と戯れ、満天の星空を味わって迎えた当日。

第一印象はクライミングのうまいファンキーな親父。
が、ホームページを見てみると、なんとすばらしい偉大な人だ!
この人をもっと知りたい。と思うようになっていた。
駐車場からアプローチを開始して色々な話をした。
裏表がなく開けっ広げな話し方。男気に満ち、ユーモアもある。
こんな男になりたいと思った。

そして特に気になっていたソロのシステム。
山野井さんと衛兵さんの方法を教えてもらったが、どうもおかしい。核心の部分が煙に撒かれているようだ。
まぁ、ほぼ初対面だし、しょうがない。焦らずいこう。この人とは長い付き合いになるだろう。(希望)

「蒸籠グラの全景を見る為に大蛇グラに寄ろう」と、男は嫌いと言いながらサービス精神の衛兵さん。
調子に乗って全ピッチリードさせてとさりげにアピールするも、答えはNO。
ですよね〜。

核心の5Pを含む、1、3、5Pをリードすることになった。
取り付きでグリグリのレクチャーを受け、初めての相棒が初めてグリグリを使うというのに、平静な衛兵さん。
クライマーとはそういうものか!?危険を楽しむ。そうでなくちゃ、やってられないだろう。

天候にも恵まれ、気持ち良く1Pを登る。
下からお褒めの言葉をいただいたが、これぐらいはサクサクいかないと師匠に会わす顔無し。
逆にその余裕の表情からは核心の5Pに対する自信が伺える。

2P目。登り出しの部分は木を使わず岩だけでいくとなかなか厳しい。
そして、普通は持つであろう木を使っての9らしい。
普通。。なんてつまらない言葉だ。闘争心が燃え上がる。

そして、核心10cの5P。
いよいよだ。ビレイ点から見上げるハングした岩。やってやる。やってやるぞ!
「オンサイトがかかってるからテンション掛けずにバンドに戻って何度でもやり直せばいい」とアドバイスを受けた。

しかし、そんな気はサラサラない。
13クライマーの話も聞いているし、衛兵さんを驚かせるようなムーブで、一発で、かっこよく、かつさりげなく、余裕をもってクリアしたい!
そして信頼を得て、今後につなげたい。

バンドを右上し核心部の真下にきた。左手のカチを決めて体を支える。
足はある。後は右手が決まればイケる。
ペタペタペタ… ホールドを探す。ハングしている為、時間がかかれば左手がヨレる一方だ。
まず目に付くのが目の前の20cm程の開いたクラック。
指ジャム決めて止めるがこれは悪い。このグレードのホールドじゃない。他にあるはずだ。

ペタペタペタ…。
見ぃーっけ!!アンダーと呼ぶには少々高いが、指がしっかり4本入る心休まるホールド。

よっ!!体を上げると同時に右手を引き付ける。そして左手をガバへ送る。

終わった。

下からはリーチに対する歓声。(ブーイング)
取れてはいけないホールドが取れてしまったようだ。

でもそんなの関係ねぇ!!
力と技術の無さをリーチと勇気で補っているので勘弁勘弁。

ところが、超えたはずの核心再び...
その先、ホールドが無い。スラブだー。苦手なスラブだー!
恐っ!!思わず声に出して衛兵さんに聞かれてしまった。不覚。

苔もあるし、とてもスメアで登る気など起きない。
ここで落ちたらいい笑い者だ。ネタにはなるが、オンサイトは譲れない。

手足とも浅いホールドでなんとかエッジングで乗り切った...
まさに核心の5Pでした。

6Pは面白いピッチだった。が、最後の最後に2mぐらいの垂壁があって、これがまた濡れている。ここだけは木を使うしかなかった。くやしい〜!!
登攀が終了したが、時間はまだ昼。せっかく遠くから来てもらってるし、もう1回ピッチを変えて、あるいは柏木へお付き合いします(付き合って)と誘ってみるが、
2回登るのは気が乗らないみたい。さらに用事があるとのことで、それならしょうがない。

すぐにハイキングコースに出て歩き出す。ここはホントにアプローチが楽!!スニーカーで十分だし。

またいろんな話をしながら駐車場へと向かう。
衛:「今度、女の子2人連れて来るから2回登るんや」

僕:さっき2回登るん嫌って言ったやん!!

衛:男は嫌いなんじゃい!!

なんて男らしい。
しかし、冗談とも本気ともとれるその言葉に泣きそうになりながら、なんとか駐車場に辿り着いて解散となりました。

さてどうしよ?弥山登るには中途半端な時間だし、と考えながらドライブウエイを下って行くと、バイクでツーリングに来た会社の先輩とばったり出くわした。
バイクと車を交換して駐車場へUターン。
そして大蛇グラからシオカラ谷経由でハイキングして、満たされた気持ちで家路に着きました。

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